オトナだって褒められたい

びよら弾きの近所のお話。毎週決まった時間にすれ違う、ずっと独り言を言ってるおそらく障がいをお持ちであろう明るいおじさんがいらっしゃいます。どこのどなたなのか全く存じ上げないのですが、多分毎回ピッタリ同じ時刻に同じルートを歩いていらっしゃるのだと思います。かなりの頻度で出会っています。先週も私びよら弾きとすれ違いました。するとそのおじさん、私を必ず「顔認証」のあとにっこり笑って一言

「おはようございます。今日もノギワヨウコに似ていますね。」

いい人だ。

 いつもびよら弾きだけ(たぶん)にこの挨拶。一字一句違いません。どこのどなたかわからない方のこの一言で、私はその日１日とてもいい気分になります。

そう、大人だって褒められたい。あの知的美人俳優に似てるなんて堂々とびよら弾きに言ってくれる人なんて他にいやしない。

さて振り返って花音のレッスン。花音をご指導くださる鶴谷先生は滅多に褒めてくださいません。そのかわり、素晴らしいボキャブラリーで私たちの足りない部分をグサグサっとお伝えくださいます。

何その音程ひどいねえ。一体なんの曲弾いてるの？これ現代音楽？　なんかもうちょっと若々しく弾けない？　こりゃ小鳥のさえずりじゃなくて猛禽類だわ。恨めしや〜って弾き方になってるよ。

私たちは決してめげません。そういえば、びよら弾きは今まで個人的にいろんな先生のレッスンに行ってますが、良い先生ほど褒めてくださらないのです。今日はよく練習したからきっと何か言ってくださる、なんと少しでも期待してたら、想定外のダメ出しの連続で心が折れます。逆に、「まあ〜お上手ですね。素晴らしいですね」なんて毎回褒めてくださる先生は、気持ち悪くてすぐやめました。天邪鬼なのか、ひねくれてるのか、ダメだと言われれば言われるほどやる気が出る私、そして花音のみんななのです。

でもね、先生、たまには、ホ・メ・テ。　

大人だってたまには褒められたい。　いつか先生に上手になったねって言われることを夢見て、今日も私たちは自主練するのです。（びよら弾き）